Indeerのバンガロール知恵袋

インド・バンガロールで生活する駐妻の知恵袋

仕事と育児と

インドに来て開眼する思いだったことの一つは、
大方どこの国の家族も、父親が当然のように育児に深く関わっているということ。
日本を除いては。

発表会や水泳大会、三者面談のような機会はもちろん、
Movie nightやpotluck partyのような娯楽要素の強いものまで、
学校の行事において、外国のお父さんをよく見かける。
スクールバスを見送る朝のバス停でも、ちらほらと目にする。専業主夫であったり、仕事が休みだったりするわけではない。仕事に行く前にバス停に立ち寄って、我が子を見送ってから、仕事に向かう。

子どもに対する愛情は万国共通、皆深いはず(だと信じたい)のに、
この差はどこから来るのか。

育児は女性がするもの、そういう意識が未だ日本では根強いということなのだろうし、男性は仕事をしてナンボ、身を粉にして休まず働いてナンボ、という意識もまた、未だ深く根を張っているように思える。

そんな雰囲気、慣習がある中で、
忙しい朝の時間帯にわざわざ時間を作ってまで子どもを見送ろうなんて発想は浮かばないだろうし、子どもの行事のために仕事を休むなんて、相応の合理的な理由が無い限り、罪悪感を感じるというか、あり得ない選択肢なのかもしれない。

インドでは、モディ主導で、日本とは逆の「働き方改革」(中央官庁職員の出退勤状況をウェブで公開し、安易に遅刻や早退が出来なくする。つまり「もっと働け!」)をしたと言うし、いやいや、勤勉であることは素晴らしいじゃないか、とは思う。
第一、家族との時間を犠牲にしてでも働きたい、働くべき、働かざるを得ない時もある。
労働から得られる刺激や達成感が、その人の生きがいとなっているかもしれないし、お客様や会社のため、自分のため家族のため、絶対に手を抜けない、やり切らなければならない時もある。

だけど、少なくとも、一人で育児を背負い込んで孤独を感じている専業主婦のお母さんや、同じように働いているのに育児は同じように分担してもらえず不公平感を抱いている共働きのお母さん、まだまだマイノリティとして肩身の狭い思いをしているかもしれないシングルファザー専業主夫のお父さんがいる限り、この状況は是正していかなきゃ。

そういう見方は、一人一人の意識レベルでは、もしかしたらもう相当程度、浸透して来ているのかもしれない。少なくとも頭の片隅くらいにはあるのかも。

時間外労働の削減、男性の育休取得促進など、
方針や制度の面でも、少しずつ、明らかに変わり始めている。

それでも全体としては劇的に変わっているように見受けられないのは、まだ社会全体の風潮や慣習というOS がアップデートされていないから。周りと違うことをするのは勇気がいるから。

社会に潜む同調圧力、根強い価値観。
一人一人が望んだ生き方、働き方が出来るように、柔軟に変えていけたらいいなと思う。